こどもの心臓病
こどもの心臓病
心臓病には、いくつかの種類があります。大人では、動脈硬化による虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)が多いですが、こどもはちがいます。こどもの心臓病で一番多いのは、生まれつき心臓の形に異常のある「先天性心疾患」で、軽症も含めると100人に1人の割合で発生します。
こどもの心臓病は、大きく分けて、以下のような病気があります。病気の種類と程度によって、経過観察のみでよい軽症のものから、治療が必要なもの、運動制限をしたほうがよいもの等さまざまです。
専門病院(大学病院・こども病院など)での診療が必要なことも多いため、クリニックでは専門病院と連携した診療を行います。
生まれつき心臓の形や機能に異常があるもの。多くの種類がありますが、代表的なものでは以下のような病気があります。心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症、ファロー四徴症、房室中隔欠損症、肺動脈狭窄症、大動脈狭窄症、大動脈縮窄など。
心臓には4つの弁(大動脈弁・肺動脈弁・僧帽弁・三尖弁)があります。弁が小さく狭い場合は狭窄症と呼び、弁がしっかり閉じない場合は閉鎖不全症と呼びます。(例:大動脈弁狭窄、大動脈閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全など)生まれつきのものは先天性心疾患にも分類されます。
心臓は一定のリズムで動きます。そのリズムの乱れを不整脈と呼びます。経過観察のみの軽症も多いですが、中には治療が必要なものもあります。症状は動悸・めまい・失神・胸痛から無症状までさまざまです。代表的な不整脈は以下のようなものがあります。期外収縮、頻拍症(上室性・心室性)、WPW症候群、遺伝性不整脈(QT延長症候群など)、房室ブロック、徐脈など。
心臓の筋肉の病気です。原因は不明ですが、ウイルス感染や遺伝などが関係していると考えられています。代表的な病気に以下のものがあります。肥大型心筋症(心臓の筋肉が肥大する病気)、拡張型心筋症(心臓の壁が薄くなる病気)など。
川崎病は、乳幼児期に発症する全身の血管炎で、高熱・発疹の症状で発症し、目の充血、手足が硬くむくんだ状態、唇や舌の発赤(いちご舌)、頸部のリンパ節腫脹を主な症状とする原因不明の疾患です。診断されると入院治療が必要ですが、一部の患者さまで後遺症として冠動脈(心臓を栄養する血管)に瘤(こぶ)ができることがあります(冠動脈瘤)。この場合は血管内の血栓を予防するための治療をする場合があります。
こどもの心臓病の種類や重症度によっては、日常生活や運動に制限が必要になることがあります。しかし、近年は医療技術の進歩により、多くのこどもたちが制限なく日常生活を送ることが可能になっています。